その2)内部監査員の力量

内部監査員の力量によって内部監査の有効性が左右されると思いますが、多くの組織から「内部監査員の力量が不足している」「どうすれば力量が向上するか」という課題を頻繁に耳にします。
そこでこのコーナーでは、内部監査員の力量向上の阻害要因について考えてみたいと思います。
----【内部監査員の力量が向上しないのは何故か】--------
1.資格認定後の教育計画がない・・・
ISO規格では、内部監査員の資格認定については組織の裁量に任せており、明確な基準は定めていません。そこで、多くの組織では、「外部セミナーへの参加」「社内の有資格者による教育」などの内部監査員研修への参加を基準に内部監査員を認定しています。
しかしながら、座学による知識の習得が中心の研修では、内部監査の概要や進め方は理解できても質問の仕方や適合・不適合の評価などの監査技術については2〜3日の研修で習得することは難しいのではないでしょうか。
しかし、残念なことに多くの組織では、内部監査員を任命した後のスキルアップ教育については具体的な教育計画が策定されていないのが実情と思います。
2.監査経験が少ない・・・
皆さんの会社では、どれくらいの頻度で内部監査を実施されていますか?
半年に1回・・・。年1回・・・。多くの組織では年間に数回程度しか内部監査が行われていないと思います。
従って、内部監査員に任命されても、なかなか監査経験を積むことができません。また、1年に1回程度の内部監査では、力量が向上するためにはかなりの年数を要することになると思います。
しかしながら、内部監査を行なうには人件費などの経費が掛かります。また、忙しい業務の合間を割いて監査の時間を作ることが必要になります。判っていてもなかなか監査の回数を増やせないのが本音と思います。
内部監査の回数を増やさずに監査経験を積むことはできないでしょうか・・・・。
3.監査実施後のレビューがない・・・
内部監査が終了すると監査報告書や是正処置報告書を提出し、マネジメントレビューの重要なインプット情報になりますが、監査報告書や是正処置報告書の内容は適切でしょうか。
●あたりさわりのない「監査報告書」
●不適合の基準が不明確な「是正処置報告書」
●チェック漏れのある「内部監査チェックリスト」
これらの監査記録が誰からもレビューされずにファイリングされてしまう・・・。
内部監査員の力量が向上しない要因の一つには、このような監査記録を内部監査員にフィードバックする機会がないことが挙げられると思います。
4.内部監査への期待が低い・・・
トップマネジメントは、内部監査に対してどの程度、期待しているのでしょうか。
●継続的改善の機会として期待している
●組織や部門、業務の問題点を顕在化する機会として期待している
●ISOの要求事項ではあるが、多くは期待していない
トップマネジメントの考え方によって内部監査への期待も色々と思いますが、トップマネジメントの期待が高ければ内部監査員への教育の機会なども増えると思いますが、反対にあまり期待していない場合は、業務が多忙になると内部監査の実施が遅れてしまうこともあると思います。
トップマネジメントの期待が、内部監査員のモチベーションに多少なりとも影響しているように感じます。
----【力量向上への近道は・・・】--------
内部監査員の力量向上の阻害要因について色々と勝手なことを書いてきましたが、これらの要因を基に内部監査員の力量向上を考えてみました。
(1)内部監査員のスキルアップ計画を作る
内部監査員へ認定するための教育だけでなく、認定後の計画的なスキルアップ教育も必要と思います。
【教育例】:ISO規格要求事項の再教育
監査チェックリストの作成教育
不適合指摘のケーススタディ
(2)監査報告書・是正処置報告書のレビューを実施する
内部監査終了後、監査報告書や是正処置報告書を「指摘事項は適切か」「報告書の内容は適切か」の観点でレビューし、内部監査員にフィードバックすることは有効な手段と思います。
個別にフィードバックする方法もありますが、内部監査員が集まって検討会形式でレビューする方法もあると思います。他の内部監査員の監査報告書や是正処置報告書を検討することで内部監査の擬似体験が可能になるのではないでしょうか。
内部監査の回数を増やすことは容易ではないと思いますが、疑似体験を積むことで力量の向上に繋がるのではないかと思います。
内部監査員の力量向上は、難しい課題と思いますが、内部監査の良し悪しが組織のマネジメントシステムの良し悪しを決めると言っても過言ではないと思います。
皆さんの組織では、どのように内部監査員のスキルアップが行なわれていますか。
皆さんからの忌憚のないご意見をお待ちしています。




